愛し*愛しの旦那サマ。
“心地良い”
“幸代だけ”
そこまで想っているのに、
“愛している”
彼女が強請るその言葉をその場で素直に応じない事に特別深い理由はない。
敢えて理由を挙げるのなら、素直に応じない自分に何度もその言葉を強請る彼女が好きなだけ。
そんな性格を自分でもかなり捻くれてると思う。
だけど、彼女はそんな俺を出会った頃から真っ直ぐに想ってくれる。
どんなに冷たい言葉をかけても笑顔で受け入れてくれる。
明るい笑顔。
自分には無い素直さ。
彼女に惹かれた理由は沢山ある。
今迄も、これからも、どんな時も彼女と一緒に居たい。
幸代は自然とそう自分に思わせてくれる唯一の女性。
確かに、
俺は今まで、
“愛してる”
そんな言葉を、その場でちゃんと面と向かって誰かに伝えた事はない。
だけど、こんな俺の隣りで眠りにつく彼女の頬にそっと手を当てて、
「愛してる」
今日もそう囁く。