愛し*愛しの旦那サマ。
「うん。何だか臣くんに申し込まれちゃったから~…そんなわけで、その日は、っていうか、前日位からこっちにみんなで来てね」
私がそう言うと、
『……ぅ……っ』
受話器の向こうで、いきなり、すすり泣く声が……
「えっ、ちょっと、お父さん、まさか泣いて……」
『いやぁ~…、あんな出来た立派な婿をお前なんかがつかまえられただけでもありがたいのに、式までとは……しかも、ここにきて、密かに夢だったバージンロードも歩けるなんて……』
うぅ……うぅ……っ、
と、酒のせいもあるのか、本当に感激しているのか、何なのかよくわからないけど、涙してるっぽい貫一。
そっか、そっか……やっぱり父親だよね。
何だかんだ言ったって、やっぱり可愛い娘の晴れ姿を拝みたいんだね、
と、つられて歓喜に浸る前に、ちょっと一言。
「お父さん、密かに夢見てるところ申し訳ないんだけど、式は白無垢着て神前式を考えているんだけど」
密かな夢が現実になる、と歓喜に浸りきってしまわないうちに父へお伝え致します。