愛し*愛しの旦那サマ。

く……くるちい……

何だ……?これは夢?

何かに覆われて、窒息する夢デスカ??

ゆ、夢なら早いトコ、一回覚めておこうか……


そう思って、


くわっ―…!!


と、瞳を見開くと苦しさから解放される。そして、仰向けになる私の目の前には、


「風船……」


と、呟き、じーっと私を見る臣くんがいた。

もうちょっとで夢の中だった状態の私は、頭の回転がにぶっているようで、何時もは目の前に臣くんがいようものなら、喜んで飛びついていくのに、


「―…ふ、風船??」


と、そこの疑問に飛びついてしまう。


「幸代の丸いカオ見てたら、風船に見えてきたから」


そんな臣くんの言葉に、あぁ、つまり私の口から臣くんが空気を入れようとしてたってわけね、ナルホド。と思うけど、違うちがーぅ!!

忙しく一人突っ込みをしていると、


「……っ」


臣くんがまた私の口を塞いだ。そして、


「ん……っ」


臣くんの唇が離れると、


「風船じゃなくて、やっぱり幸代か」


真面目な顔をして私を見る臣くん。すると、


かぷり、


私のほっぺたを甘噛みして、今度は、


「―…大福」


と、呟く。


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