愛し*愛しの旦那サマ。
「だって、あのコって基本無表情でしょ?言い方も冷たいし~会っても相手してくれないし、面白いことがないもの~」
まったく誰に似たのかしらね~、とマダム美佐枝は溜め息をつく。
実の息子に面白さを求めるあたり、さすがどこか違う……
なんて意味不明な感心をよせていると、
「そうそう、今日はね、コレを持ってきたの~」
と、バーキン様から、何やらゴゾゴソと取り出すお義母サマ。
「ざっと集めたんだけど~…」
と、出てきたのは結婚式場や写真館のパンフレット。ごっそり。
「私ね、臣に会いたくないのは、このこともあるの。だって、幸代ちゃんをお嫁さんに頂くのに、式も挙げない、写真も撮らない、なんてとんでもない男だわっ!私だったら、さっさと三行半つきつけてやるわねっ」
そうプンプンと文句を並べるお義母サマに、
「お、お義母さん―…」
と、思わず感動してしまう。
マダム美佐枝は、こんな私のどこを気に入ってくれたのかは謎だけど、出会った時からとても可愛がってくれる。
実の両親なんて、結婚式も写真も予定ナシについて、
「お前みたいなのが、あれだけの上物ゲットしたんだから、そのくらいの我慢いいじゃないか」
とか、
「ママが代わりに入籍してほしいくらいだわ~」
とか、言っちゃってるくらいなのに……
ちなみに、実両親は私の大学進学と同時に父の実家がある九州に帰ったので、現在田舎暮らし。
たま~に、生存確認のお電話をいただくくらい。