愛し*愛しの旦那サマ。

しばらくすると、ひざ掛けに埋もれた携帯が静かになり、気を取り直して朝食を食べようとすると、

今度はタララララララ~♪

と、固定電話からエリーゼのためにが流れ出す。まさか―…と、思いながら、


「はい、櫻井です」


と、受話器を取ると、


『あ゛ー…幸代ちゃ……ん?俺だけど……』


受話器の向こうから、物凄く声がガラガラになった若い男の声が聞こえてくる。


「どちらの俺様でしょう?」


かすれたガラガラの声の主は塚本だと、ほぼ100%の自信でわかっていたけど、ぶっそうな世の中だから一応確認はしないとネ。


『つ……塚本だけど……』

「あら、塚本クン。こんな休日のクリスマスの朝からどうしたのぉ?」

『お、臣……いる?』

「臣くん?ちょっと今、手が離せないみたいだから、何か用事があれば私から伝えておくわよ?」


まぁ、よからぬ用事なら右から左に聞き流すけどネ。


『じ、実は、今日グリズマスだからさ……グリスマズ大コンパ……誘おう……ゲホゲホゲホゲホッ……』


受話器越しに物凄い勢いで咳き込む塚本に、思わず受話器を耳から離してしまう。

っていうか、グリスマズ……クリスマス大コンパって聞き捨てならぬ言葉来たよ。

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