愛し*愛しの旦那サマ。


いけない、いけない!臣くんのことを考えると、つい顔がニヤけてしまう。


「まだここ、ぶらぶらすんの?」


明らかに、もう嫌だオーラ全開で臣くんが聞いてくる。

でも、せっかく一緒に街ブラしてるんだし、このまま帰るには早すぎるし……

どうしようか~…と、今後の予定を考えていると、


「ホラ、やっぱりあのカッコいい人、彼女と一緒じゃんっ」


先ほどのCanCam系女子の声が、この人込みの中でも耳に入ってきた。臣くん系の会話は幸代の両耳さんが大体キャッチするからね。

そして、


「えっ?!あれ彼女??」

「えー、ああいう人って凄い美人連れて歩いてそうなのに、なんか……」


“なんか、意外とフツーっていうかパッとしない人と一緒だね”


そんな余計な会話までもを私の耳がキャッーーーチ。


「でも、一緒にいるのって彼女じゃないかもよ?」

「妹とか?」

「それにしては全然似てないじゃん」

「じゃあ、近所のコとか遠い親戚のコ?」


ノンノン。

キミ達、全部不正解だよ。

私、こんなパッとしない華のない女だけどサ……


このハンサムマンの“妻”なんだけどなっ!!



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