愛し*愛しの旦那サマ。

「臣くん、臣くん……」

「何だよ」

「今ココデチョットオオキメノコエデ、愛する妻の幸代、イマカラドウスル?って言って!!」

「は?」

「ナンデモイイカラ!“愛する妻の幸代”ッテ大声で言ってぇ~」

「……こんなとこで、変な遊び考え付くなよ」

ったく、ちょっと目を離すとアホなこと考える、お前の脳みそも凄いよな、と、溜め息混じりに言うと、さっさと臣くんは歩き出してしまう。

臣くん、Please~wait~wait~!!

と、心の中で大声で呼び止めながらも、


「あ~、暖房が効いててアツイワ~」


と、物凄く不自然に左手で顔を仰ぎ、左手薬指に光り輝くマリッジリング様をCanCam系女子に強調してやった。

このダミアーニのマリッジリング様が目に入らぬかぁ、的なアピールで。

彼女達のその後の反応は気になるところだったけど、臣くんに本気で置いていかれそうになってる状況ということで、私はダッシュで臣くんを追った。


< 86 / 498 >

この作品をシェア

pagetop