愛し*愛しの旦那サマ。
「臣くん、臣くん……」
「何だよ」
「今ココデチョットオオキメノコエデ、愛する妻の幸代、イマカラドウスル?って言って!!」
「は?」
「ナンデモイイカラ!“愛する妻の幸代”ッテ大声で言ってぇ~」
「……こんなとこで、変な遊び考え付くなよ」
ったく、ちょっと目を離すとアホなこと考える、お前の脳みそも凄いよな、と、溜め息混じりに言うと、さっさと臣くんは歩き出してしまう。
臣くん、Please~wait~wait~!!
と、心の中で大声で呼び止めながらも、
「あ~、暖房が効いててアツイワ~」
と、物凄く不自然に左手で顔を仰ぎ、左手薬指に光り輝くマリッジリング様をCanCam系女子に強調してやった。
このダミアーニのマリッジリング様が目に入らぬかぁ、的なアピールで。
彼女達のその後の反応は気になるところだったけど、臣くんに本気で置いていかれそうになってる状況ということで、私はダッシュで臣くんを追った。