愛し*愛しの旦那サマ。

二十六年間生きてきた中で、これだけの長時間ベッドに横たわったというのは今回が一番の記録だろう。

年をまたにかけて、そんな記録を作れるだなんて……

とか、今はそんなどうでもいいことを考えている場合でもない。

そう思って私は力を振り絞り、ヨタヨタとベッドから起き上がる。

そして、ウォークインクローゼットの扉へとプルプル手を伸ばす。


「おい、何する気だよ」

「お……臣ぐん、出がげよう゛……」

「……その身体で何処にだよ」

「どりあえず……ぞ、ぞと」

「は?」

「は、はつびの出……みれなかっだから……せ、せめで初日の入り……を」


せめて初日の入りを臣くんと一緒に拝みたい……


「……それ素で言ってんの?それとも熱からくる症状で?」

「す、素……」

「……」


とにかく着替えようとした瞬間に、熱にうなされ、長時間寝ていたということもあって、足がいうことをきかずによろけてしまう。

だ、ダメだ。

きつい……

だけど、ここで倒れるわけにはいかないっ……!

スポコンドラマの主人公的心情になっちゃう。


< 96 / 498 >

この作品をシェア

pagetop