先生は元彼⁉
~体育館裏にて。

「やっと、だな…」

そう言いながら怪しげに笑う虎牙くん。

「え…?」

「やっと俺のもんだよ、苺愛ちゃんも。」

そう言いながら私の腕を掴んでくる。

そしてそのまま私の顎を掴む。

き、気持ち悪い!!誰か…

「誰か…ぁ…!!」

「呼んだって誰も来ねぇよ…」

ヤバい、この状況は相当ヤバい。

「何やってるんだ君は!!」

誰か助けに来てくれた!?

虎牙はあわててどこかへ逃げてしまった。

私は驚き過ぎて、足に力が入らない。

「大丈夫か?」

そう言ってきたのは…

瀬川先生。

助けてくれたのは瀬川先生だったんだ…。

「あっ、あの、大丈夫…で…す」

あれ?おかしいな?

なんでだろ、涙が出る。

「心配させんなって…」

先生は優しく私を抱きしめながら、そう言った。

「先生…」

久しぶりに伝わってくる先生の体温が、恐怖でこわばっていた私の体をとかす。

それは、とても安心感のあるもので。

先生と苺愛がその時誰かに見られていたことなど、知るよしもない。
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