【完】児玉くん色に染められそう。
児玉くんとの放課後。
二年二組のプレートが
ぶら下がった教室。
中にはあたしと隣の席の
児玉くんの二人だけ。
野球部の掛け声が哀愁を漂わせているこの教室の窓に何度もぶつかってくる。
「……」
「……なに…」
食い入るように見つめていたら
渋々といった感じで彼は顔を上げた。
そんな彼の机には日誌がお一つ。
上半分を先に書くよと彼は言ってから今まで黙々とシャーペンを走らせていたのだ。
「ねえ児玉くんって
ツンデレな友達とかいる?」
「…いないけど」
「じゃあヤンキーな友達とかは?」
「…いるように見える?」
「実は二重人格で
裏では俺様気質とかないの?」
「ないよ」
段々話すのが面倒くさくなってきたのか最後の方はもう若干投げやりになっていた。
うーむ、つまらん。
やっぱり現実の世界は俺様とかヤンキーな人はそうそういないんだな。
まず本当にヤンキーがいたら怖くて近寄りがたい。
だけど小説でもいうように
そんな人が自分を特別扱いしてくれたら
ヤンキーがタイプでないあたしでも
絶対ドキドキしてしまうんだろうな。