【完】児玉くん色に染められそう。







騒々しい体育館をぐるり、と見渡す。

準備運動を兼ねながら目は薫を探していた。


圭のために試合を組んだわけじゃない。

俺は圭の申し出を利用して

これをキッカケに薫とよりを戻すつもりでいた。


最も薫にもその気があればだが…。



『三宅ー! なんで児玉くんと対決するの?』


『退学を賭けての対決ってホント?』


『あたし三宅のこと応援してるんだから勝ってよねー!』



よくもまあゾロゾロと人が集まるもんだ。

この他人事暇人どもめが。


こっちはこの3on3に青春全部賭けてんだよ。


圭に負ける気は微塵も感じない。

こう見えて俺の中学校は強豪で有名だったのに対し圭の中学校は人数ギリギリな弱小チームだ。


まずそこで力の差が出ているはず。



「剛、拓海、手加減無しでやれよ」


「んー。部活前の肩慣らしにちょうどいいんじゃない」


「てかずっとこれやってたいわ。基礎練かったるいし」



同じ学年で隣のクラス二人には適当な理由をつけて協力してもらうことになった。

女のため、ましてや元カノのために
対決するなんて死んでも言いたくない。


正直に理由を説明する自分を想像しただけで小っ恥ずかしい。

一年はそこらへんに座って好き勝手にお喋りをしている。



「じゃあそろそろやっかー」


「へーい」



ゆるい感じに並び





―――ピーッ。


ゆるい感じに試合は始まった。





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