【完】児玉くん色に染められそう。








だんだん居てもたっても居られなくなりあたしはとうとう席を立った。


「おいおいおい。まさかの放棄か森ー」


扉に触れた手を慌てて先生が阻止する。


「トイレですっ!」


「先生も着いてくわ」


「それは問題です!」


「ってのは冗談で、2分で戻ってこいよ」


「はい!」


「戻ってこなかったらお前の内申2つくかんな…っておーい…」


あたしは先生の言葉を受け流し

ダッシュで階段を駆け下りた。


上履きの音が長い廊下に響く。

自分でもよく分からない。

初めてだから、整理もつかない。


体育館シューズに履き替えずそのまま渡り廊下を走った。

近づくにつれギャラリーの声が大きくなる。


あたしは重い扉をゆっくり左にへと引いた。




「…っ」



児玉くん、やっぱりキミはズルいと思う。


あんなこと言われたら

好きとか嫌いとか関係なく気になって当たり前だよ。







< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop