【完】児玉くん色に染められそう。
それぐらい特別扱いの威力はすごいのだ。
そこをもう少し男子に分かってほしい。
「森さんは不良がタイプなの?」
「んーん、ただケータイ小説では多く登場するから。あ、違うかも俺様のほうが多いかな」
「…へえ」
興味がないと言いたげな返事。
児玉くんは素っ気ない。
そんなんだから女子から
扱いづらいって言われるんだよー。
「率直に申しますと
胸きゅんが欲しい訳ですよ」
「はあ、」
「はあ、って何そのお祖父ちゃんみたいな生半可な返事」
「だってなにそれ」
このご時世の草食系男子は
胸きゅんも知らないのか。
これだから女子のときめきバロメーターは年々廃れていくのだ。
「はい、終わった。あと下よろしく」
「んー。あ、先帰んないでよ」
「待ってるから早く書いて」
「はーい」
あたしはペンを借り
連絡事項欄に目を向けた。
「ねえねえ、児玉くん
漫画とか読まないの?」
書きながらも私語は止めないあたしに「黙って書いて」と児玉くんは注意を入れる。…先生みたい。