【完】児玉くん色に染められそう。
「今日休み」
「よかったー。児玉くんバスケ部に見えないからつい忘れちゃうよー」
「そのバスケ部に
見えないってよく言われる…」
思わず出た本音を
嫌そうに答える児玉くん。
どうやらそうとう
言われられてきたようだ。
「だって肌白いし、華奢だし。あ、でも身長も高いからゴール近いねっ」
「や、三宅(みやけ)とかのほうが高い」
「っ、あ…うん、そうだったっけ」
ふいに出たその名前に
一瞬笑顔が固まる。
そ、そうだった。
その人もバスケ部だった。
あたしはお喋りだった口をキュッと結び
そこから黙々とペンを走らせる。
三宅とは三宅淳のことで
あたしは今その名前に少し敏感だ。
何故って、彼はあたしの元彼で
そしてつい最近よりを戻してほしいと
LINEで再び告白をされた身なのだ。
返事は、自分でも
意外なことにまだ返していない。
三宅のことはすごく好きだったから、正直少し嬉しかったのだ。
破局した理由だって、曖昧なすれ違いからくる自然消滅ってやつだし。
だけど、それでも胸のどこかが引っかかって中々三宅に返事をする気になれないでいた。
一緒の部員の児玉くんなら知っててもおかしくないのに、彼は何も言わない。