遠く空の上から(4p)
「ママ、おねがいがかなったよ」
「ん?」
「パパとなかなおりしたんだね」
ママはじっとけいちゃんを見つめました。
「たったひとつのお願いなのに、そんなことに使っちゃったの」
ママはがっかりした顔をしました。
「だって、だって・・」
けいちゃんの目から大粒の涙があふれてきました。
「ごめん、ごめん。けいちゃん。ママが悪かった。ただ、パパやママのためじゃなくて、自分のために使ってほしかったのよ」
ママの言葉を聞くと、とうとう、けいちゃんは声をあげて泣き出してしまいました。
二人の様子をじっと見ていたパパでしたが、黙っていられなくなりました。
「なんだか俺たち、けいちゃんのことを一番になんて言いながら、自分たちのことしか考えてなかったみたいだな」
パパはしんみりと語ります。
「いつも、みんなで食事ができたらって、他の誰のためでもない、けいちゃんが一番に望んでいる事なんだよ」
「けいちゃん・・・」
ママの目から涙があふれてきました。
「ホントだね。けいちゃんが一番に家族のことを考えているのかもしれないね」
ママはけいちゃんを抱きしめました。
「ありがと、けいちゃん」
「・・・ママ、」
「遠く空の上から見た地球は、青くて綺麗だったでしょう」
「うん」
けいちゃんは大きく頷きました。
パパは視線を窓の外に向けました。
「ほら、見てみろ。綺麗だぞ」
そこには、夜空にぽっかりと浮かんだ金色の丸い月が、眩しいぐらいに輝いていました。