太陽が昇らない街
「た、助けてくれっ・・・・!」
ほんの小さな声が聞こえた。
彼女の聴力は人間の数千倍、いや数万倍はある。
ここから数キロは離れたところだろう。
彼女はその声を聴くとすぐに森を駆けた。
その先にいたのは、声を出したであろう男と盗賊たち。
「危ないっ」
彼女は思わず男を庇いに入る。
振り上げられた剣は、一瞬にして弾き飛ばされた。
力で灰にすることもできたが、それをしなかった。
彼女は必要以上に武器を消さない。
なぜなら、彼らの武器は自分を屠ることができる“可能性”だから。
「だっ、誰だっ!!」
「うわ!こいつあれですよ、やばい奴です!!」
盗賊は彼女を見るなりすぐに逃げて行った。