太陽が昇らない街
「氷のような子だと聞いてたけど、うーん。君ってクールな子ではないよね?」
口角をあげて微笑む。
いつも笑顔な人って、頭の中で何を考えているのかわからない。
彼女は相手をしても無駄だと思い、そのまま去ろうとする。
「また来るよ」
男は彼女の背中に向かって言った。
『化け物』と呼ばれなかった。
こんな経験は、初めてだった。
慎重にならなければならない。
彼がどういう気持ちであれ、私側につかせてはいけない。