太陽が昇らない街
「あんた、相当な変わり者ね」
彼女はすぐに視線を逸らす。
「よく言われるよ。でも本当に変なのは街の人たちだ」
男は街の方へ体を向ける。
「君が化け物だとか、殺せば太陽が昇るとか。狂ってる」
彼女は初めて男の真剣な眼差しを目にした。
「・・・火のないところに煙は立たないわ」
そう言って俯く彼女。
「私が人間離れした能力を持っていることも、私が生まれた日から一度も太陽が昇っていないことも、事実よ」
その言葉を聞いて、男が振り向いた時にはもう彼女は消えていた。