太陽が昇らない街
「・・・しつこいな。そんなことはどうでも良い」
彼女は木から飛び降り、男に背を向けて歩き出す。
男は走って彼女の腕を掴んだ。
「逃げるんですか、現実から。助けてほしいなら助けてと、叫べばいいじゃないですか」
力強く握りしめられた腕が熱くなる。
彼女は男の方を振り向き言った。
「良いのよ。・・・もう、良いの」
ほんの少しだけ、穏やかな顔をしたように見えた。
しかし瞳に映るは闇。
全てを受け入れ、望むことを諦めているよう。