【短編】アナタとワタシ
弱気な女の子
 



私は今、真剣に時計を見ている。

チッ、チッ、とゆっくり小刻みに動く針を、穴でも開けるように見つめた。

一秒、一秒進むごとに私は胸が高まるのを感じた。

普段、あんまり感情を表に出せないけど、こういうときだけ出せる。

すると、針が12を通り過ぎた。

……来た。

チャイムが四時間目の授業の終わりを告げる。

それはつまり昼食の時間、ということ。

そう、私がさっきから楽しみにしていることはお弁当。

恥ずかしいけど、食べることが私の趣味。

食べるの、大好き。だから、体重管理をするのが大変。

太りやすい体質だから、油断してるとすぐに太っちゃう。

私は席を立ち、ランチボックスを取り出して屋上に向かった。
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