そして少女は兵器を知る
ひとつのテーブルに、ふたつの椅子。

その片方に、私が腰かけるのを、お祖父様は手伝ってくれる。

静かに椅子を引き、

「さあ、ここにお座り」

と、促してくれる。

私はそっと、そこへ腰を下ろした。

後ろから、お祖父様が私の髪を一房取り、深呼吸をしながら、すいてくれる。

「また、心地よく潤ったね、ミリアリア。お前は本当、私の宝物だよ」

「ありがとうございます」

「今日はローズマリーを入れさせた。あんな野蛮どもを相手にして、緊張したろう? ゆっくり、あったまりなさい」

「はい」

するすると私の髪を指に滑らせるお祖父様の言葉に、こくりとうなずく。

テーブルに置かれた、白地に薔薇模様、金縁のカップを、ソーサーごとそっと持ち上げる。

お祖父様が先ほど出ていた、開けっ放しのベランダから吹く風に乗って、香りが部屋中に広がる。

一口、含んだ紅茶は熱く、だけど、美味しかった。

穏やかな溜め息が自然と漏れ、肩の力が、抜けた気がする。
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