そして少女は兵器を知る

名残惜しそうに、指の間に私の髪を滑らせながら、お祖父様は移動した。

はた、と髪がお祖父様の手を離れ、垂直に落ちる感覚。

お祖父様は、堅固な振る舞いで、椅子に座った。

私に教えたマナーを細かに実践し、褐色の液体を一口飲んだ。

白い髭をわずかに揺らし、

「少し茶葉が少なかったか。どうだい、ミリアリア」

と訊ねてくる。

彼とは、まだ、あの白いケースの中で過ごした半分の時間も一緒にはいない。

しかしお祖父様はまるで、何年も、毎日毎日、朝から晩まで共に過ごしてきたかのように、『日常』を私に訊ねてくる。

始まりは朝の空気、その湿度、気温、日の照り具合から、終わりは星の煌めき、就寝前の紅茶まで、何年も何年も付き合いがあるかのように。

お祖父様は、笑んでいる。

柔らかな表情だ。私にはできない。そのための表情筋が、動かない……と思う。

だから、

「……私、わかりません」

どう答えればいいのかも、わからない。