そして少女は兵器を知る
お祖父様と、私。

そしてローズマリー。

「ミリアリア」

「はい」

「ミリアリア」

「はい、お祖父様」

やり取りを繰り返す。

「ミリアリア」

屋敷の庭は、豪奢……そのすべてが、私のためだとお祖父様は言う。

「はい。お祖父様」

庭の噴水……私に潤いを与えるものだと、お祖父様は言う。

「ミリアリア」

青々しい芝、なめらかに整えられた生け垣……私に生を見せるためだと、お祖父様は言う。

「ミリアリア」

「はい」

「…………いいや。なんでもないよ」

繰り返して、毎晩、結局お祖父様は、そう最後に濁すのだ。

不快感は、なぜかない。

いや、むしろ、なにも感じない。

彼は私を呼び、私は応え、また彼は私を呼び、私はまた応える。

そればかり。

しかしなぜだ?

たったそれだけの行為、事実の繰り返しに、些細な満足感を得るのは……?

知識も答えを出してくれない、それは不思議なものだった。
< 15 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop