そして少女は兵器を知る
「はっは、よぉしやった」

男の声と、

「さあ引き上げっぞ。あとは車ン中のじじいを殺しゃしまいだ」

「「「サ!!」」」

敵達の気配が背を向けるのを感知した。

目は見えないのに、わかる。

その、感知した死をも、ヤツらをも、飲み込んでいる、なにか。

この領域――森一帯に広がり、溢れ、漂う、それ。

「? ――おい、なんだコイツぁ!?」

男の声に、私は再び、目を開く。

世界は黒の濃度を失い、一色、真紅に染め尽くされている。

それは、世界を支配する、私の命。

存在の証――

霧化した、私から流れ出た、大量の血液。

血の領域、真紅の世界、広がった私の意識――

「ぁは、あ……」

生殺与奪の支配者として、私はこの『国』に、立ち上がった。

こちらの動きを気取り、迷彩柄の人間を引き連れる男が、振り返る。

「スカー、レット……っ!!」

その口が醜悪な怒りに歪むのを見て、

「生き、残るのは」

私も、口を歪めた。

「この、私」

綺麗な綺麗な、三日月に。

直後、気温が一挙に急上昇し、

ジュアアアアア――!!

私さえ驚く蒸発音が、森を押し潰した。
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