そして少女は兵器を知る
私は、生を掴んだ。

私の体さえ飛び出す巨大な意思――生きることの渇望を力に、まだ、ここに立っている。

遥かを見た。

私の世界に含まれていなかった道路に、お祖父様のいる車があった。

「お祖父様」

そう……私は彼を守った。

私の生を守り抜き、彼の安全を貫徹した。

私を包み見つめて慈しんでくれるお祖父様を、死なせなかった。

きっと、彼はまた、私をあの穏やかな灰水色の眼に映し、笑んでくれる。

卑しく綺麗な三日月ではなく、私という存在を肯定し、名前を呼んでくれる。

ミリアリアと呼んで――

「――どうして目覚めてしまったの?」

「!」

駆け出そうとして、私は凍りついた。

鼓膜を通し、伝わり感じたのは、氷の粉末を混ぜたような女の声音。

安易に振り向くことを許さない、覇気のない、しかし絶対的な存在感。

だれ? とは思わなかった。

この、声の主は、なに? と、ただ、本能が疑問へ逃避した。

認めたくないなにかが、死より明確に、死より和やかに、背後にいる。

認めたくない。だから、本能が疑問へ逃避する。
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