そして少女は兵器を知る
「ねぇ、こちらを向いて、その顔を見せて?」

それなのに、その声はまるで他者を不変の運命へ縛りつけるように、私の体を動かす。

意思がねじ曲げられ、私のものではない欲求が、溢れる。

声の主と、対面したい。

本能が、それだけはダメだと警告を轟かせている。

しかし知識が、彼女の存在を目に焼き付けたいと、焼き付けねばならないと、ヒステリックに喉を掻いている。

そして、だから、私は振り向いた。

そこに、

「ああ……やっぱり」

これで何度目になるだろう。

「愛しいほど、私と同じ姿ね――ミリアリア」

私は、私を見た。

目鼻立ち、頬の輪郭、背丈に腕や足の長さ――すべてが私と重複する。

唯一髪だけが、長い長い軋轢の中で圧縮練磨された宝石のように、白銀。

爛と灯る、私と同じ赤い瞳を見て、全身が真紅である私よりも、彼女こそがスカーレットと呼ばれるに相応しいとさえ、感じた。
< 34 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop