そして少女は兵器を知る
庭を走り回っていた人達を一掃した私を、お祖父様はあたたかな紅茶を用意して、待っていてくれた。

「ミリアリア、本当によくやってくれたね。さ、おいで」

にこやかに手招きするお祖父様のそばへ私が寄るのと入れ替わりに、紅茶を運んできてくれたらしい給仕が、軽い会釈をして出ていった。

赤い絨毯が廊下を床を覆い、観賞用の甲冑や植物、階段の手すりや壁に瀟洒な彫刻のなされたこの豪邸に、お祖父様は数人の給仕と暮らしている。

だけど、お祖父様は、ひとり暮らしだと言い張る。

私だけが家族であり、私だけが、たったひとりの、共存者だと。

「さあ、お上がり」

と、お祖父様がティーカップの蓋を開けた。

たぶん、私が来る前々から――あの侵入者の相手をしている頃から、準備されていたんだろう。

少し甘い、それでいてこざっぱりした爽やかな香りが、鼻腔をくすぐった。
< 9 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop