襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
大の男が慌てて女を気遣う姿はなんとも滑稽なものだが、そんなことも言っていられない。
晴宗にとって今最も重要なことは、大切な妻の可愛らしい笑みを取り返すことである。
そのためならばいくら情けなくとも今は構わないのだ。
しかしそんな晴宗を避けるようにスススと体の向きを変えた久保姫は、ツンとそっぽを向いて再び晴宗に背を向けた。
その行動に晴宗が動揺を隠せるわけもなく。
あからさまに肩を落とすその背中は伊達の名を背負うものには見えないだろう。
部屋のなかには、えくぼ…と弱々しく吐き出された晴宗の声が響いた。