襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
そんな普段到底聞くことの出来ない晴宗の声に久保姫の良心が痛む。
(…晴宗様…)
だがここで態度を軟化させるわけにはいかなかった。
久保姫は確かに怒っているのだ。
何よりその原因をちっともわかっていない晴宗への苛立ちもある。
しかし、喧嘩を長引かせたいわけでもない。
そう。彼女は決して晴宗を悪者にしたいわけではないのだ。
ただどうしても消化できない思いがあるだけ。
久保姫は相変わらずその顔を可愛らしくも険しく潜めたまま、ふぅと息を吐き出した。
そして
「…晴宗様、この度はどちらへ…?」
と小さく呟く。