襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
小さくともやっと聞こえてきた愛しい妻の声に、バッと勢い良く顔を上げる晴宗。
しかしその言葉にきょとんとした顔を落とす。
「…へ…?」
久保姫が呟いたそれはまるで浮気をした夫を問い詰めるような言葉ではないか。
そんなこと一切身に覚えのない晴宗はその言葉に反応が遅れる。
襲撃してまで彼女を拐ったのだ。
戦だって覚悟の上の行動だった。
あの日彼女の前で誓ったように、晴宗は久保姫以外を室に迎える気はない。
何度か娘を側室にと言われたこともあるが、久保姫を嫁に貰うと決めた日から全て断ってきたのである。
それはこれからも変わることはない。