襲撃プロポーズ-二度目の求婚-




今では晴宗が正室である久保姫をこの上なく寵愛していることは周知の事実である。


晴宗は側室話を持ってくる相手に如何に自分の好いた女が可愛いかを力説するため、広まらないわけがない。


それに何より、この言葉を今言われる意味が晴宗にはわからなかった。


何故なら




「どちらって…お前の実家だが…?」




そう。晴宗は久保姫の生家である岩城氏のもとに出向いていたからだ。




(俺、言ったよな…?)




晴宗の記憶では城を出るときに久保姫にそう伝えたはずなのである。

彼女もまた笑顔で自分を送り出してくれたはず。




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