襲撃プロポーズ-二度目の求婚-




そう記憶している晴宗には、何故彼女がそのことでこんなにも機嫌を損ねているのかわからない。


そんな晴宗とは対照的に、久保姫はぎゅっと手のひらを固く握り締めている。


部屋のなかに広がる沈黙。

どういう意味なのかと問いたい晴宗だったが久保姫の背中がそれを許さない。


どうしたらいいのか。

なんと声をかければ彼女はこちらを向いてくれるのか。

嫌われず穏便に事を済ませることが出来るのか。


いろんなことが一気に晴宗の頭の中を巡る。


戦で敵を前にしたときよりも緊張している自身には呆れるほかない。


そんな沈黙を破ったのは意外にも久保姫の方だった。




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