襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
「…何故、父とあんな約束をされたんですか」
ゆっくりと、噛み締めるように吐き出された言葉。
「約、束?」
その気の抜けた返事を合図にしたように、ガバッと勢い良く立ち上がり晴宗の方を振り返る久保姫。
突然のことに驚いた晴宗が声を上げようとしたとき、それは見えた。
見えたそれに晴宗の声も止まる。
呼吸さえも止まった気がした。
見えてしまったのだ。
彼女の瞳に浮かぶ、今にも溢れてしまいそうな涙が。
「笑窪は知っているんですよ!晴宗様が父上と一人目の男の子を養子に出す約束をしたこと!」