襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
王子様の帰還
────────久保姫を拐いに参った。
輿入れの道中を襲うという前代未聞の襲撃事件から早数ヵ月。
今日も奥州の空は綺麗な青を讃えていた。
雲は白く輝き、降り注ぐ太陽の色はどこまでもあの暴れ馬を連想させる。
パカ、パカ
「はぁー…やっと帰ってこれたか…」
陸奥の大きな城の前。
響いたのは安堵を乗せた一つの声だった。
馬に跨がり長く息を吐いてそう呟いたのは、伊達家の嫡男・暴れ馬こと伊達晴宗である。
岩城重隆の屋敷から馬を翔ばし漸くの帰還だ。
男臭く太陽のよく似合うその顔は、どこか緊張から解き放たれたように晴れ晴れとしていた。