襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
久保姫は岩城氏にとって大切な長女である 。
重隆の後を継ぐ男児はいない。
その為、御家存続のためにも必要な約束だった。
その他にも久保姫への待遇などいろいろと言われたが、晴宗が全て"心配ご無用です"と返していたことはその場にいた者たちしか知らない。
「俺だってお前との子が欲しいさ。そしてその子にちゃんとこの家を継がせたい」
晴宗はそっと久保姫の髪を撫でながら、小さな子どもを宥めるように声をかける。
最初は反応を返さなかった久保姫だったが、手のひらの暖かさに安心したのだろうか。
少しずつ気を緩め、自らその手に擦り寄っていった。