襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
「…はい」
自分は伊達の子を産む。
そう決めている久保姫にとって伊達の、愛する男の血が途絶えることは決して許せぬこと。
そんなこと絶対にあってはならない。
久保姫も頭ではわかっているのだ。
そうすることでしか重隆と晴宗の関係を持ち直すことが出来ないことを。
晴宗と久保姫の婚儀はそれほど周りに大きな影響を及ぼしていた。
それでも、考えてしまう。
もし、晴宗に別に寵愛する女が出来てしまったら。
子を、孕むことが出来なかったら。
自分は愛する男の子どもを育てることが出来ないかもしれないと。
そんな恐怖と不安が、久保姫の身体中にまるで黒い靄のように絡み付いていた。