襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
いつまでも彼女の実家と険悪な雰囲気を続けているつもりなど晴宗には初めからなかった。
そこには政治的な意味合いも確かにあったが、一番の理由は久保姫を悲しませないためである。
実の親と夫が首を狙い合う姿など、花のように可愛らしい彼女に見せたくはなかった。
彼女が悲しむ原因を晴宗は一つでも多く取り除いてやりたかった。
「だからな、えくぼ」
そして何より、彼には自信があった。
その約束を決して無駄にしない自信が。
しんと静まる空気のなか、二人の視線が重なる。
どこまでも真っ直ぐ彼女を見つめる晴宗。
その瞳には彼女だけが住んでいた。
そして唇がゆっくりと動く。