襲撃プロポーズ-二度目の求婚-
晴宗は意を決してそっと久保姫に近付き、柔らかな声で問い掛けた。
「……」
しかし、やはり彼女からの返事はない。
それは晴宗にとってとてつもなく衝撃的なことだった。
彼女からすれば自分との出会いは最悪な形だっただろうと晴宗は思っている。
何せ輿入れを邪魔された挙げ句、見知らぬ男に結婚を迫られたのだから。
それでもあの襲撃の日から、久保姫が笑顔を絶やしたことはない。
晴宗がその名を呼べば、花を咲かせたような笑顔を向けてくれる。
晴宗は彼女のそんな笑みがどうしようもなく愛しくて仕方なかった。