不謹慎ラブソング
「『雨跡』って、確か瀬田さんが去年の文化祭用の新聞に掲載させた小説じゃなかった？」
　

同じ新聞部の生徒に指摘され、私は息が詰まりそうになってしまった。

ずっと降っていたあの雨の原因までもが瀬田だったなんて、信じたくもなかった。
　
一年前の文化祭で、小説を書く人を部長たちが選んでいた。

その候補者の中には私も入っていた。

文章が優れているということで、当時の部長さんが選んでくれた。
　
「でも、樋口ちゃんは児童文学ばかり書いてるから、あまり高校生には向いてないんじゃない？」
　
それに水をさしたのも瀬田で、私はあっさり候補者から外されてしまった。

小説を書くことになったのは、瀬田で、しかもその内容は当時放映されていた少年漫画を原作とするアニメと、酷似していた。
　
「瀬田さんの小説名まで覚えているなんて、樋口ちゃん本当に彼女のこと大好きなんだね。」
　
クラスメートはくすくすと笑って、鞄を背負い教室を出て行ってしまった。
　
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