不謹慎ラブソング
私は、何度も何度も原稿を破いては、地面へと落とす。
 
「私が、傷ついていないとでも思った? 

瀬田さんに言われた言葉、全然笑えなかった。

全然面白くなかった。

なのに私はずっと笑っていた。

瀬田さんはそれで良い気になっていた。」
 
アスファルトに張り付いた原稿を踏む。
 
「私はもう笑わなくても良いんだよね、瀬田さん。」
 
電話の向こうからは、歯ぎしりの音と、落胆のため息が聞こえてきて。

それから何度も言葉を選びながら、瀬田がゆっくりと絞り出した言葉は、
 
『今までごめん。さよなら』
 
その一言だった。
< 22 / 100 >

この作品をシェア

pagetop