不謹慎ラブソング
彼女――瀬田朱音もその一人である。

彼女は実に分かりやすい人間だ。

馬を見て鹿というような女性で、他人に何を言われても自分の意見を曲げなかった。

極度の自信家であり、自己顕示欲も旺盛で、誰もが寝ている授業ですら、堂々と手を上げて発言していた。

それ故、同級生たちからは疎まれていた。

そんな瀬田朱音は、新聞部で副部長に選ばれた。

部長に選ばれた二年の先輩と、部活以外の場でも関係があったらしい。

元々、声が大きな瀬田は、私と同じくらい部活でも目立っていたのだから、仕方ないと思った。

教室では疎まれている哀れな彼女に、花を持たせてあげよう、そう考えるほどの余裕が当時の私にはまだあった。

けれど、雨がすべてを壊していった。
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