不謹慎ラブソング
あの、ソプラノの声が兄のものだとは、信じたくなかった。
けれど、幼い頃からピアノと歌に力を入れてきて、音楽に親しみのある兄なら、できないわけではなかった。
声変わりをしても女のような高い声が出ていた兄は、学校で音楽の先生から天才、と言われていたのだ。
何処からか降ってくるような高い声は、天使や神様の声なのだ、と。
けれど、あの歌を兄が口ずさんだ意味は一体何だったのだろう。
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