不謹慎ラブソング
「杏里、こんなトコにいても退屈じゃね?」
優しい太陽のように明るい声が頭上からして、私は薄っすらと瞳を開けた。
裸の上にタオルケットを巻いた無防備な状態で、私は縁側で眠っていた。
障子を開けて向こう側の和室では扇風機が音を立てて回っている。クーラーもかけっ放し。
節電節電ととかく五月蠅いこのご時世でも、祖父たちは地球を甘やかしてはいないらしい。
家には私しかいないと言うのに、テレビの音が居間から聞こえていた。
和室の窓から入り込んできた礼人君は、私の傍らに座り込むと顔を覗き込んでくる。
「そんなに退屈でもありませんよ。何もないってことは、平和ってことじゃないですか。」
頬についた板目の痕を擦りながら、私はふてぶてしく呟いて起き上がる。
いつの間にか昼を過ぎてしまっていた。
今日もまた寝過ごした。
祖母のお手伝いも三日坊主に終わってしまったようだ。