不謹慎ラブソング
朝食に、礼人君の持ってきてくれたスイカを今日も食べる。
礼人君の家の庭にはキュウリやトウガンやスイカやナスやトマト……ありとあらゆる野菜が育っているようで、家も近所ということでよくおすそ分けを頂く。
同じ歳の礼人君はこの田舎町で生まれ育っているようで、都会っ子と違い実直でやや子供っぽいところがある。
そして、親戚のお兄さんのように優しくて明るい。
一人でこの町へやって来た私は、当初町の人たちから避けられていたが、礼人君だけは私に構ってくれていた。
あれから、二度目の夏がやって来ている。
「なぁ、肝試し行かね? 今晩、子供会が開いた祭りやるんだよ。そこの山で」
「丁重にお断りさせていただきます」
可愛げもなく言い切る私に嫌な顔一つせず、礼人君は言った。
「杏里は、余計なことにも気回し過ぎなんだよ。もっと自分勝手に生きれば良いじゃん」