不謹慎ラブソング
瀬田とは、中等部の頃からの付き合いであった。

同じクラスにも何度かなり、クラスが離れてからも廊下で会えば五分程度の立ち話をするほどの間柄ではあった。

部内ではずっと二人でいたから、先輩たちからは「仲良し」と思われていた。

実際、自分も瀬田のことがそれほど嫌いではなかった。

むしろ、「好き」だった。
 
虐げられた者同士、分かり合える部分があるような気がした。

瀬田が無責任に放つ数々の言葉が、私の傷を埋めてくれるような気がした。

一緒が楽しいわけでもないけれど、それでも一緒にいた方が良いような気がした。

けれど、雨が降り続くようになってから、瀬田とも話すことが億劫になり、今までどんな風に会話をしていたかすら忘れてしまった。

ぎこちない私の挨拶を、瀬田は不審に思ったらしく、何があったかと問い詰めてきた。

別に隠すことでもなかったから、ありのままのことを私は話した。

瀬田はいつもの通り、何処かの小説で読んだ言葉を並び立てて、それらしく私を諭した。

私もそれをいつも通りに聞き流していた。
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