不謹慎ラブソング
電車に揺られることが好きだ。
 

自分が何者か忘れられる。
 

たくさんの人の中に紛れ込んで、ケータイを弄ってみたり、中づり広告を見てみたり、本来意味のないようなことをしていても、責められない。
 

私は、ある電車のある車両のある座席に座るある女子高生だ。
 

本当にそれだけで、本当にちっぽけな存在で。


電車に乗っている時、私は嫌われ者で不良な高校一年生の生徒ではなくなる。
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