不謹慎ラブソング
―可愛いー。本当莉那ちゃんって、女の子らしいよねー。


―持ち物全部クマちゃんで揃えるなんて、メルヘンだねー。
 

小さい頃は、私の周りにたくさんの女子がいて、常に私を中心に輪はできた。


昼放課になれば必ず話しかけられて、それなりに楽しかった。


―…私の趣味じゃないよ。母さんが、ロリータ好きなだけ。


素直になれない私の素気ない返事にでも、女子たちは相槌を打ってくれていた。


けれど、小学五年生の女子がそこまで性格良いわけがない。


―キモイんだよ。全然似合わない。何? ロリータって。マジキモイ。


―あいつ、ピンクとかフリルとかキャラじゃないよね。あんなの持たすとか、あいつの母親頭おかしいんじゃないの?


トイレの中から聞こえてくるそんな声は、自然と学校中に知れ渡った。


信じてはいけない。


付け込んではいけない。


きっと、奴らはすぐに牙をむいて私を傷つけるから。


だから、私は友達なんて要らない。
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