たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「惟君、君にはプレイボーイの気があるのかね? そんなところを見ると、また玲子ちゃんがハラハラするだろうに。それに達也君もじゃないかな?」


「そんなことありませんよ。さっき、メイドに声をかけたのは当然でしょう。それに、お父さんもお母さんも僕のことは知っていますよ。だから、あれくらいのことでハラハラするようなことはないと思いますけどね」


「そういうものかね? なんだか、しばらく会わない間に印象が変わったように思うけれども」



そう言いながら、慎一は惟の顔をじっと見ている。そんな彼に惟は軽く肩をすくめるだけ。
今、一條邸にやってきているこの相手。山県惟(ヤマガタタモツ)という彼は、慎一からみれば従妹の子供になる。

だからだろう。慎一が惟を見る目は優しく愛情深いもの。そのままの表情で、彼は惟に声をかけていた。



「それはそうと、こうやって帰って来てくれたんだ。例の話は承諾してくれるんだろうね」


「そのつもりですよ。でも、それを聞いた時は僕の方が驚きましたよ。本当にいいんですか?」


「いいに決まっているだろう。何より、玲子ちゃんたちも安心するんじゃないのかな? 君が日本に帰ってこないことを本気で心配していたんだから」



慎一のその声に、惟はわざと大きくため息をついている。それは、『子供じゃないんですよ』と言っているかのよう。そのことに気がついている慎一は、どこか軽い口調で言葉を続ける。



「それだけ、玲子ちゃんも達也君も君のことを気にしているんだよ。だから、そんな顔をするもんじゃない。でも、こうやって帰国してくれて助かった。これで安心して話が進められる」

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