たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「式はまだ先かな? なにしろ、亜紀はまだ高校生だし。早い方がいいだろうけど、さすがに卒業前に籍を入れるのも不謹慎だろうしね」
「た、たしかにそうですわね。でも、それでしたら婚約期間がずいぶんと長いのではございませんか?」
「そうなんだけどね。でも、ぐずぐずしていて彼女を取られるのが嫌だったからね。だから、ちょっと急いだかな? あ、これから彼女がここによく来ると思うから。そのつもりで応対してくれるね」
惟のその声に、千影の眉がピクリと跳ね上がる。どうして、そのようなことを言いだすのだろう。惟が婚約したのは事実だと認めよう。しかし、これは政略的なもののはず。相手の年齢と家の名前に気がついた彼女の頭にはそんな思いしかない。
私はあなたを愛しています。あなたも私のことを愛してくれているのではないのですか?
そう言いたげな表情が彼女の顔には宿っている。だが、惟はそのことに気がつかないようにゆっくりとコーヒーを啜るだけ。そんな時、軽いノックの音が聞こえたかと思うと、スタッフの一人がおずおずと顔を出してきた。
「どうかしたの?」
惟との時間を邪魔された。そう感じる千影の声はどこか厳しい。そんな彼女の怒りを感じるのか、入ってきたスタッフはキョロキョロするだけ。それでも、思いきったように口を開いている。
「あの……惟様にお目にかかりたいとおっしゃっておられる方がおみえです」
「僕に? 珍しいね。それよりも、僕がここにいるってことを知っているんだ。誰だろう」
「た、たしかにそうですわね。でも、それでしたら婚約期間がずいぶんと長いのではございませんか?」
「そうなんだけどね。でも、ぐずぐずしていて彼女を取られるのが嫌だったからね。だから、ちょっと急いだかな? あ、これから彼女がここによく来ると思うから。そのつもりで応対してくれるね」
惟のその声に、千影の眉がピクリと跳ね上がる。どうして、そのようなことを言いだすのだろう。惟が婚約したのは事実だと認めよう。しかし、これは政略的なもののはず。相手の年齢と家の名前に気がついた彼女の頭にはそんな思いしかない。
私はあなたを愛しています。あなたも私のことを愛してくれているのではないのですか?
そう言いたげな表情が彼女の顔には宿っている。だが、惟はそのことに気がつかないようにゆっくりとコーヒーを啜るだけ。そんな時、軽いノックの音が聞こえたかと思うと、スタッフの一人がおずおずと顔を出してきた。
「どうかしたの?」
惟との時間を邪魔された。そう感じる千影の声はどこか厳しい。そんな彼女の怒りを感じるのか、入ってきたスタッフはキョロキョロするだけ。それでも、思いきったように口を開いている。
「あの……惟様にお目にかかりたいとおっしゃっておられる方がおみえです」
「僕に? 珍しいね。それよりも、僕がここにいるってことを知っているんだ。誰だろう」