たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「突然で申し訳ありません。実は……私、アンジー様に助けていただきたいと思いまして」


「僕にできること? だったら、いくらでも力になるよ。なにしろ、君は惟が信用している部下だし、僕も君のことは信頼している」


「ありがとうございます。でも、その惟様に嫌われたみたいで……私、どうしていいのか分からなくなってしまって……」



口ではそう言っていても、彼女は惟が不機嫌になった理由を分かっている。もっとも、それを彼女は認めたくない。なにしろ、その理由は彼女が彼の婚約者とトラブルになった、ということだからだ。

いや、たしかに亜紀には千影が一方的に喧嘩を売った。しかし、それは彼女にすれば当然のこと。これをトラブルと思われては困る。そんな思いが彼女の中には間違いなくある。

しかし、惟はそう思っていないのだろう。それは、突然やってきた竹原という相手が口にした『お嬢様とトラブルになった』という言葉を惟が信じたことからも簡単に分かる。

もっとも、それを千影が認めるはずもない。なにしろ、彼女は惟に婚約者がいるという事実さえ認めたくないのだ。だが、表面上はそのようなことを思っているとはおくびにも出そうとはしない。それどころか、彼女は上司の機嫌を損ねたことだけを不安がる様子を見せている。

その彼女の言葉の半分が真実だったせいだろう。アンジーはすっかり心配した様子で千影の顔を覗き込んでいる。その彼に、彼女は頼みこむような色を向けていた。



「このようなこと、アンジー様にお願いするのはいけないと分かっているんです。でも、お願いです。私と惟様を二人で会わせていただけませんか?」
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